高齢者にスマートフォンを簡単に使ってもらう為に工夫した設定です。
嫁の父が病院に入院する事になったのでスマートフォンを渡してLINEを使ってもらう事にしたんですがこれがなかなか難しい。
私からすると義父にあたる方でいわゆるシニアと呼ばれる世代なんですが、能面作りが趣味で、完全なるアナログに特化している人なんです。
以前、能面の勉強をしたいのでスマートフォンが欲しいということを娘である嫁に相談したところ
「ついにこの時が来てくれた!♪」
と喜び勇んでiPhoneを買ってきて義父に渡したところ、数日間は少し触ったようだがそれ以降全く使わなかったようだ。
ある時、パケットの使用料を調べたところ数ヶ月パケットの使用量が0だったようで全く使ってなかったこと。また電話が全く繋がらなかったことから電池が切れたまま放置していたことまでも発覚してしまった。
うちの嫁は非常に節約家で必要なのにはお金はしっかり出すが、無駄なものには一銭たりとも使わないというのが徹底している人なので翌日には電話の解約をしてしまった。iPhoneに関しては嫁が使っていたものより新型だったので端末を差し替えということで活用されている。
そんなことがあってから数年後、義父が3週間ほど入院するのでどうしようかと家族会議が行われました。その結果…
テレビ電話で日々の様子を知りたいのでLINEだけでも使ってもらえるようになってもらうというミッションが発動しました。
昨今の病院ではお見舞いや差し入れなども厳しく制限されており、下手をすれば刑務所並みに面会が不便です。義父の嫁や子供たちも父の様子が心配なのでなんとかならないかと考えた結果テレビ電話という方法に行き着いたわけです。
以前の反省を生かして
とりあえずシンプルにする。必要ないアイコンや不必要な機能は消して全てワンタップで使えるようにショートカットなどを工夫する方向に決めました。
我が家の大蔵省である嫁は今回は家で余っている端末を使用して、慣れて使いこなすようになってきたら新しい端末を考えるということでした。
色々と考えたんですが
●不必要なアイコンは全削除
●連絡先はショートカットで1人ずつホーム画面に置く
●とりあえず今回はビデオ通話(LINE)、動画閲覧(Youtube)、検索(Googlechrome)だけ使えるように
とすることにしました。余っているという端末で大画面なもの、壊れても悔しくない端末ということで今回は手持ちからHuawei AscendMate7出すことにしました。
正直、これから行う設定はAndroidであれば特に難しいものではありません。
Huawei端末ということもありホーム画面はNovaLauncherを入れる事にしました。そして日本語入力に関してはGoogle日本語入力を入れました。理由は色々あるんですが、違うメーカーの端末を今後購入した時でも、今から少しでも環境を変えたくないという配慮からです。iPhoneであってもiOSのバージョンを変えてしまうとガラッと変わってしまうということを考えるとAndroidという選択は正解だったかも知れません。
これが設定したシニア向けのホーム画面です。
LINE電話をかける相手を選ぶのはワンタップです。「調べもの」、「動画」もアプリ名ではなく使用目的に名前を変えてワンタップにしています。
実はここまでしてほとんどのことは順調で正解だったといえます。
ただ一つ大きな誤算がありました。それは文字入力です。
ガラケーを使ってメールを打つことはできていたので、そこの部分はほとんど心配してなかったんですが今回一番苦労したのがこの文字入力の部分になります。
ガラケーで文字入力ができるのにスマーフォンで文字入力ができないのか。
その理由は二つありました。
シニア世代にスマホが使いにくい1つ目の問題
タッチパネルに慣れていないので、ちゃんと押せているのかが感覚的に分からない
シニア世代にスマホが使いにくい2つ目の問題
予測変換で余分なものがたくさん出て迷う
この二つに関しては想像をしていませんでした。義父が実際にスマートフォンを使っている様子を見ていましたが、見たこともない文字や画面が出るとそれだけで慌てている感じで、しばらくは誰かがついて教えてあげないと挫折してしまうのもわかる気がします。ただ使う機能を絞ることで少しづつ覚えていくと後は自分で色々とできるようになっていくのではないかと思います。
気づいた時には自分でYoutubeで「能面の制作」を検索して動画を見ていたりしていたのでやはり興味を持つことが一番の学習意欲につながるのは間違いないようです。
今思うのはシニア世代向けのスマートフォンを出したとしても、本当の意味でシニア向けのものはどれぐらいあるのだろうか?
●タッチパネルに慣れない人への選択肢がない
●余計な予測が出てきて迷う。
●端末を買い換えたりバージョンアップをするとユーザーインターフェイスが変わって使えなくなる。
歳を重ねてくると視力や、触覚、頭脳などどうしても少しづつ能力が落ちてきます。歳を重ねていく中で若い頃と同じに能力が上がったりということはありません。そう考えると本当の意味でのシニア向けのスマートフォンや各社共通で使えるホームアプリなどはない気がします。
シニア世代にスマートフォンを渡して
慣れればいいじゃないか?
タッチパネルの方が簡単でしょ?
そういう考えだとスマートフォンに慣れてもらうこと自体が無理だと思います。
それでもスマートフォンを求めるシニア世代に対して一部の代理店や企業では
オプションいっぱいつけても複雑だから分からなくてもずっと払うでしょ
念の為にといえば高額なオプションつけて儲けられるから美味しい
そういったシニア世代を食い物にするような考えを持った企業があるのも現実です。実際に新聞やニュースを一時期賑わせていたので記憶に残っている人も多いと思います。
本当の意味でシニア世代のスマートフォンは
●料金プラン
●文字入力の改善
●各社共通で入れられるシンプルなホームアプリ(UI変更をしないアップデート)
●無料か格安の使い方講座込み
これが必要なんじゃないかと思います。
私の周りのシニア世代である程度スマートフォンを使えている方はやはり娘に教えてもらった。息子に教えてもらったという人が多いのも事実なので使い方講座というのも有効な方法だと思います。もしもシニア世代対してスマホ関連のサービスを提供して利益を得ようと思うのなら騙すような手法ではなく、適正な価格でスマートフォンの使い方講座の実施、使いやすいスマートフォン設定サービスのようなことを行ってお互いにWin-Winの関係を築くほうが今後のお互いの為になると思います。
まとめ
今回の感想なんですが、シニア世代の方であっても視力がしっかりしていて、指が思い通りに動くならスマホが使えるということです。さすがに覚えるまでの時間はかかりますが「やりたいこと」を聞いてみてそれ以外の機能のアイコンは全て削除したりショートカットを作ってあげることでひとつづつ確実に覚えていきます。シニア世代の方はあくまでも電話というイメージなのでそこからの思い込みから脱却できません。なので余計に先入観が邪魔をしているようです。でもパソコンと電話の合体したものという新しい考え方を理解してもらえた方はそこからの習得が早いです。特にスマホで写真を撮影してそれを送るということが一人でできた時などは感動して、そこからどんどんと色々な機能を試したがりました。今ではYoutubeで好きな動画を探して見てたり面白いものがあったら写真を撮って送ってきたりとスマートフォンライフに少しづつ慣れているようです。
この記事はこれからシニア世代ににスマートフォンを渡して使ってもらおうという方の参考になれば幸いです。
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