いつまで待ってもAstroSlide5Gが届かない人たちがいる。
AstroSlide5Gが私のもとに到着したのは2022年5月でした。その時にはこのような記事を書くことになろうとは夢にも思いませんでした。
AstroSlide5Gは2020年3月にIndiegogo.comにてクラウドファンドが始まりました。完成品は2021年3月に発送予定でした。
結果として発送が始まったのは2022年2月でした。1年遅れとはいえ届き始めたので安心していました。私も完成品を受け取れたのは2022年5月なのでかなり早く受け取れたと思います。
しかし2023年11月時点でも購入した多くの人に届いていないようです。Indiegogoもキャンペーンから日数が経ちすぎてプロジェクト終了の扱いに移行しました。10万円近いお金を払ったにもかかわらず端末が届かない。当然ながら購入型の出資ではなく投資型なのでリスクはありましたが今まで実績のあったメーカーだけに驚きを隠せない人がネットではあふれています。
過去にMorphy One(モルフィーワン)という端末の開発を目指して有志からお金を集めるプロジェクトが存在しました。結果的にMorphy Oneは1台たりとも完成せずに出資者はお金を丸々失うという事件になりました。これがかの有名なモルフィーワン事件です。
Morphy One Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/Morphy_One
モルフィーワン計画が中止の危機? 渦中の開発者に聞く 引用元 ASCII.jp(2003)
AstroSlide5Gも同じような道を辿りそうです。数年後に届いたとしてもOSと性能が型遅れで使い物にはならないでしょう。今回はAstroSlide5Gの事件について記事にしていきます。
AstroSlide5Gのクラファン開始からの流れについて
2020年3月にAstroSlide5Gのクラファンが始まりました。2020年5月にキャンペーンは終了しましたが資金は十分なほど集まりました。PlanetComputerは過去にGeminiPDAやCosmoComunicatorの販売実績もあるので失敗を考えていた人はほとんどいないでしょう。
2020年5月15日には目標金額に到達しました。この時点での支援者は1895名いました。
2021年1月 CPUのダウングレード、メモリ増量などのスペック変更が告知されました。
2021年2月 バッテリー容量3500mAhと4000mAhのアンケートがあり大多数が4000mAhを支持した為に4000mAhに変更されました。
2021年5月 サンプル1号機が組みあがりました。
2021年8月 キーボードの最終確認フォームが公開されました。
2021年9月 東京にてタッチ&トライのイベントが開催されました。
2021年10月 工場での生産段階に入りました。
2021年10月 Makuakeでのクラウドファンディングが突然募集されました。
※現在Indiegogoでご支援いただいている方には、
2021年10月 AstroSlide5Gのパッケージ写真が公表されました。
2021年12月 世界的な感染症によりプロジェクトの遅延が発生していることが発表されました。
2022年1月 初期ロットの発送待ちという情報が交際されました。
2022年2月 初期ロットの到着情報が出回り始めましたが、中国の工場が旧正月に入る関係で生産が一時的に止まるということが発表されました。
2022年3月 中国の工場で生産が再開され順調に生産と発送が行われていることが発表されました。
2022年3月 中国の深センでロックダウンが発生して流通の問題が発生しました。
2022年4月 生産の本格化と日本での受け取り報告がどんどん増えてきました。生産のほとんどは日本語キーボードまたは UK キーボード レイアウトということです。
2022年5月 SIMトレイの取付忘れの報告が数点ありPlanetComputerのチェック体制の甘さが露見します。
2022年5月 英国、ドイツのAstro Slideデバイスが生産されていることが公表されました。
2022年7月 累計で約2000台のAstroSlideが出荷されたことが分かりました。
2022年8月 支援者の約40%にデバイスが発送されていることが公表されました。
このあたりからなかなか到着しない支援者からの不満がネット上にあふれるとともに到着報告が極端に減りました。
2023年1月 アストロを生産する工場の新しい経営陣に会うことができるという不穏な情報がPlanetから発信されました。
2023年3月 アストロを生産していた工場が買収されていて生産スケジュールがほぼ白紙に近い状態であることが分かりました。
2023年4月 1回目のファームウェアの更新が配信されました。
2023年6月 IndiegogoでAstroSlideのプロジェクトが終了になりましたがPlanet側はこれを把握していませんでした。
2023年7月 AstroSlideの生産が困難であることが初めてPlanetから発表がありました。
この2023年7月からAstroSlideに関するメールは発信されなくなりました。しかしこれはIndiegogoでのプロジェクトが終了したことが原因かもしれません。
補足ですがPlanetComputersの公式サイトではAstroは販売されています。
PlanetComputers公式サイト https://store.planetcom.co.uk/products/astro-slide?variant=41399313891522
納期に関しては2024年1月ということになっていますが、X(旧Twitter)での到着報告の最後が2023年の4月でした。
https://twitter.com/HideichiO/status/1650387983202385920それ以降はAstroSlideが届かないことへの不満ばかりが見つかります。
以下はIndiegogoのコメント欄なのですが
https://www.indiegogo.com/projects/astro-slide-5g-transformer/x/17681467#/comments
PlanetComputersへの罵詈雑言ばかりです。会社にメールしても公式XにDMしても全く音沙汰がないそうです。こんな状態でAstroSlideが公式サイトで売られていてもちゃんと到着すると信じられる人はいないのではないでしょうか?
あいつらが土下座して謝るまで何度でも蒸し返してやる(#^ω^)
当方 Indiegogo 7000番台(2021/8月発注)付属品どころか本体すら来ない。
….ところでmakuakeで発注した方どうなってんでしょうね^^;#Astroslide— capibalove (@capibalove_ocha) November 14, 2023
Xで見ても私と同じ心情の人ばかりでした。
まとめ
AstroSlide5Gは初期の出資者にはある程度の数が届いているので厳密にはMorphy Oneとは違うのかもしれませ。しかしIndiegogoのプロジェクト終了後に始めた公式サイトでのAstroSlideに関しては送る予定のない、遅れるはずのない製品の販売だと私は思っています。もしも本当に販売できるならこの数か月内に多少でも製品を出荷できているはずですし、製品自体が150,000円と超高額になっているのも不審です。このAstroが大量に売れるのならば再度新しい工場に生産を依頼できるのかもしれませんが、ただでさえプロジェクトの途中でハイエンド端末からミドルレンジ端末へのスペックダウンをしているので現状ではこの金額で購入する人は皆無でしょう。そうなればお金だけ支払わせて発送を延期し続けて倒産というのがほとんどの人の見解だと思われます。
普通の製品であれば騙される情報弱者の方もいるかもしれませんが、こういったマニアックな製品を買うような人はしっかりと調べて購入します。とすれば購入する人は0人でもおかしくありません。PlanetComputersはGeminiPDA、Cosmo communicatorというキーボード付き名機を販売してきたこともあり今回も多くの人が出資しました。その中の大半の人がAstroSlideがこんな結末を迎えるなんて想像すらしていなかったはずです。
今回の件は世の中には実績のあるメーカーであっても絶対というものはないし、クラウドファンディングの危険性というものをハッキリと示してしまった悲しい事件となります。残念なのはこの件でマニアックなデバイスへの出資が減り特殊な端末が開発されにくくなるのではないかという不安が残ってしまいました。
かつてJerryをクラウドファンディングで出資をつのったUnihertzというメーカーがあります。面白い端末を次々と生み出す素晴らしいメーカーです。しかし今後Unihertzがクラウドファンディングで面白い端末を開発しようとした際に出資しようとする人達が避けるようになるかもしれません。そう考えると今回のAstroSlide5Gのプロジェクト失敗はモバイル業界に対して大きな負の爪痕を残してしまったのかもしれません。
現状でAstroを手にできている人もバッテリー交換や画面割れなどの修理が出来ない可能性があります。私の個体も下側の端子では充電できなくなっていますしネットではワイヤレス充電が出来なくなったという人もいます。修理不可能な高級ミドルスペック端末。残念ながらこれがAstroSlideの末路なのかもしれません。
ただAstroSlideの金型や製造ノウハウは中国の工場が持っています、もしかするとコピー商品がこれから出回る可能性は僅かながら残っています。どうしてもAstroSlide5Gが欲しい人は薄い可能性ですがそれを待つのが一番賢い方法なのかもしれません。
しかし今回のIndiegogoでのAstroSlideプロジェクトは感染症による不幸な事故なのかもしれません。しかし製造できる見込みがほとんどないのに公式サイトで高額販売しているのであれば間違いなくMorphy Oneの時よりも悪意のある事件となります。本当に発送されるのかはしっかりと見守っていきたいと思います。
【読んで欲しいAstroSlide5Gの記事です。】
Astro Slide 5G Transformerを使ってみたレビュー 第1回
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